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劇場における冷暖房効率と静けさへの挑戦

MEMBER

  • 長岡支店 技術部 副部長

    笠原貴裕Takahiro Kasahara

  • 長岡支店 技術部技術第二課 課長

    佐藤 健太Kenta Sato

県内でもトップクラスの規模を誇る劇場の空調改修

1500席という新潟県内でもトップクラスの客席数の大ホールを有する長岡市立劇場。竣工から45年を経過して老朽化した空調設備の改修を行いました。機器の更新に加え、暖房効率向上とランニングコスト低減の観点から、システムも変更。それまでの全体空調とコンベクタ暖房の併用システムから、全体空調とガスヒートポンプエアコン及びパッケージエアコンを併用する複合型空調システムに変更しました。
劇場という特殊な環境ゆえに、通常の空調設備とは異なり、音響性能に重点を置いた仕様であることが特徴です。これが最大の課題になりました。

音を制し、静けさと快適さを両立させる。

求められた音響性能は、空調稼働時にNC25という条件でした。NCとは騒音を評価する値で、一般的なオフィスならば40程度でも支障がありませんが、劇場や教会などではより低く25という厳しい数値が求められます。そのためにダクト音と機械音の2種類の音をコントロールする必要がありました。
まず設計図ベース、次には施工図レベルで、消音機配置によりNC25が確保できるかどうかを計算し、消音機を増やすことを決定しました。それに加えて、ダクトや配管は防振金具で吊って振動を防止し、大ホールの壁や床を貫通する場合は、貫通部分を遮音シートで巻き、音漏れ対策をしました。通常のダクトは金属製ですが、特に消音効果を求められる場所では吸音効果の高いグラスウール製を採用。さらに、ダクト内風速を細かくコントロールするなど様々な方法を積み重ねて、最終音響測定でNC25をクリアすることができました。

全体空調システムで柔軟な対応を追求

この案件では、もう一点、当社で初めてとなる取り組みをしていました。それが全体空調システムです。一般的な全体空調は、夏には冷房、冬には暖房と年2回全体を切り替えることが主流です。しかし、劇場の場合は、まだ暖房を行っている中間期でも集客数が多い日には単発的に冷房したい、ということが起こりえます。
そこで、従来の倍の4台の冷温水発生機、4管式の空気調和器を設置し、需要に応じて自動的に冷房と暖房を切り替えられるシステムとしました。冷暖房時には全機を冷房もしくは暖房にすることで最大の能力を発揮し、それほど冷暖房能力を必要としない中間期には冷房2台、暖房2台に切り替えられるようにして、状況にきめ細やかに対応できるようにしました。

難題への挑戦を次につなげていきたい

音響性能についての厳しい条件をかなえる過程では、空調設備以外の要素、たとえば建築仕上げ材による透過音の変化など様々な要因が消音に関連することなどがわかり、私たちにとって大きな収穫になりました。過去のコンベンションセンターや文化会館で培った経験が劇場や大会議場などの受注につながり、さらに未来へつながっていく、ひとつの流れを生み出しました。

また、4管式を取り入れた全体空調システムは、施設利用者数に合わせた冷暖房が可能なことから、今後、劇場以外にも多種多様な施設で活かせるでしょう。こうした経験により高められた対応力や技術力を、これからの空調工事に活かしていきたいと思っています。

工事概要

工事名 生文工第4号 長岡市立劇場大規模改修空調設備工事
工期 2016年9月27日~2018年5月31日
発注者 長岡市
設備 中央監視装置による一括管理システムを利用した劇場の空気調和設備