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福島潟周辺の豊かな自然環境を浸水被害から守る

MEMBER

  • 新潟支店 技術部 副部長

    丸山 正勝Masakatsu Maruyama

  • 新潟支店 技術部技術第一課下越駐在 主任

    坂井 謙太Kenta Sakai

大型排水ポンプ3台と付帯設備からなる機械設備を一貫受注

阿賀野川右岸地域の農地10,500ha(東京ドーム2,200個分)はもともと低湿な農業地帯で、その中の福島潟周辺もしばしば湛水(たんすい)被害(水につかってしまう被害)に遭ってきました。そこで、新潟県によるかんがい排水事業(農地へ水を供給したり、排水したりするための整備事業)と併せて行う農地防災排水事業が計画され、私たちは万十郎(まんじゅうろう)川排水機場に設置される排水ポンプ設備の設置工事を行いました。
吐出量270㎥/minという超大型ポンプ(1台で2秒かからずに25mプールを満たします)を3台、そのための電動機を含む設備全般の効率的な運用のための技術提案を行い、設計から施工まで一貫受注しました。2018年11月から2020年12月までほぼ2年をかけて、排水機場建設としては当社としても稀な大型案件を、坂井が現場代理人として、丸山が監理技術者として担当しました。

課題解決のために、モノづくりへのこだわりを発揮

排水ポンプには汎用機もありますが、3つの排水路をまとめて福島潟へ排水する万十郎川排水機場では、効率的な排水を追求してポンプそのものの設計からスタートし、工事期間の約半分をモノづくりに掛けました。見た目は変わらないのですが、水を送るため内部に収められている羽根車の回転をいかに高効率化するかについて、メーカーとともに試行錯誤しました。それは大きな挑戦でした。
電気設備では、ライフサイクルコストの低減を目指して、シンプルかつ長寿命で低コストな部品を採用し、省電力・高効率な製品を設計しました。
同時に、「維持管理のしやすい施設を」という県からのニーズにも対応。重要施設の運転操作を容易に行える操作システムの構築と、将来的な整備作業を想定し、場内の作業エリアと動線を確保するためのレイアウトを提案。社会インフラでは、今だけでなく、将来を見据えた設計こそ重要なのです。

同一構内で8社が施工。綿密な調整で乗り切った。

メーカーとの協力で始まった工事ですが、施工期間では、土木・建築・設備の工事が同時進行し、8社が一つのエリアの中で施工を行いました。土木工事の影響で地下の配管作業の動線が変わったり、施設内では建築と設備が交互に仕事を進めたりなど、緻密なスケジュール立案とそれに従った工事が必要でした。とはいえ、工事の進捗には変化も生じます。安全性と効率を叶えるためには業者間での調整が欠かせず、毎月のすべての施工業者での工事調整会議に加え、毎日のように個別で話し合い、リレーションを深めました。その結果、事故なく、予定通りに工事を進めることができました。
様々な課題を解決しながら進めた工事でした。それだけに完成し、試運転を行ったときの感動は大きく、手ごたえを感じました。

工事を通して地域への貢献を果たしていきたい。

排水ポンプは施設内に設置されているので一般の人の目には触れません。その働きが注目を集めることもありません。が、地域の安全を守るために必要な設備です。この工事をきっかけにそうしたことを地域の人たちに理解していただけたらと、施工期間中、現場ホームページを開設し、工事の内容と進捗状況をお知らせしました。
また、私たちも地域についての理解を進める取り組みを行いました。福島潟は、国の天然記念物オオヒシクイの日本一の越冬地であり、220種以上の野鳥が確認されています。併せて、葉の大きさが2mにもなる希少な水生植物オニバスの日本北限の自生地で、その他540種類もの植物が確認されている福島潟は、自然の宝庫です。施工中の環境への配慮はもちろん、社内でも環境への意識を高め、福島潟環境保全対策推進協議会主催の「福島潟クリーン作戦」に参加しました。地域とともに、地域のために――これからもそういう思いで地域貢献を果たしていきたいと思います。

工事概要

工事名 阿賀野川右岸(1期)地区 万十郎川排水機場第11次工事
工期 2018年11月8日~2020年12月14日
発注者 新潟県
設備 排水ポンプ設備