
再生可能エネルギー関連設備
バイオマス発電を支え、持続可能な社会へ
紀南発電所建設工事 電気設備・機械設備
MEMBER
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新潟支店 技術部技術第一課 課長
亀山 佳宏Yoshihiro Kameyama
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新潟支店 技術部技術第四課 課長
井村 和弘Kazuhiro Imura
和歌山県の発電所で電気・機械設備を担当

間伐材を燃料として発電する木質バイオマス発電は、資源の有効活用と林業の振興につながることから持続可能な社会の構築を後押しする取り組みとして注目され、建設が相次いでいます。私たちは、新潟市・三条市・米沢市に次いで、2019年3月から2020年5月にかけて、和歌山県西部の紀南発電所で設備の設計から施工までを請け負いました。
設計を担当した井村は、新潟から遠距離であるため建設後の維持管理を地元の業者に引き継ぐことを踏まえ、メンテナンスしやすく、拡張性を持たせた、今までとは異なる設計に挑戦しました。また、施工を監督するため現場に乗り込んだ亀山には、コンパクトな敷地内で、建築工事・プラント工事と作業を並行させるための複雑なスケジューリングが待ち構えていました。
将来を考え、シンプルで拡張性のある設計を


木質バイオマス発電所の工事は4か所目ですが、地域や規模によって発電所の設計が変わるので、設備工事の内容も違ってきます。紀南発電所ではこれまでの3か所とは違うプラントが採用されたため、冷却方式などが過去の実績とは異なり、電気供給の方法もそれに合わせる必要がありました。これらの課題を解決し、より良い設計となるようプラントメーカーと綿密な打ち合わせを重ねて設計を進めました。発電所建設のための電力供給に始まり、発電所内の電気設備、給排水設備、冷却水送水ポンプ設置などこれまで以上に幅広い施工範囲を任された、私たちにとって飛躍につながる工事です。設計にも力が入りました。
不具合が起きた時や追加設備が必要になったときに地元で完結できるように、施工業者(私たち)だけでなく、だれが見てもわかりやすい、シンプルな設計を心掛けました。シンプル=簡単ではなく、設計においてはむしろプラスアルファの要素です。井村は様々な可能性を想定し、形にしていきました。
施工ではプラント・建築・設備の同時進行を制する

紀南発電所は、発電所自体は小型で、最小限の敷地内にコンパクトに建てられることになっていました。そのため建物の裏や横から工事のアプローチができず、また敷地内に資材をストックするスペースを十分に確保することもできませんでした。しかも敷地への搬入・搬出口は1か所。そういう厳しい工事環境のなかで、複雑なプラント工事を中心に、建築工事と私たちが担当する設備工事が同時進行するため、スケジューリングの難しさは予想以上でした。
毎日の工事連絡会のほか、建築工事ミーティング、プラント工事ミーティングにも参加し、作業範囲・工程を把握して、実施工程表と重機配置や作業範囲・作業日程を記載した構内平面図を毎日作成。設備工事に関わる部分を色分けしてアピールし、他の工事担当者にも一目で理解してもらえるように工夫しました。
社会的意義のある仕事に関われる喜び

発電所の工事の複雑さは群を抜いています。それだけにすべての工事が終わり、試運転を経て、稼働にたどり着いたときの達成感、安心感はひときわ大きいものがありました。でも、紀南発電所の発電事業が価値を生み出すのはこれからです。
木質バイオマス発電所は材料の木材が供給できるところに建てられ、未使用木材を有効活用することで林業振興につながり、森林が手入れされ植栽されることで持続可能な社会が実現します。同時に、その地方で雇用を生み出し、活性化にも貢献するでしょう。こうした意義のある仕事に関われるのは技術者として誇らしく、次への活力になります。これからも地域社会に貢献できるよう努めていきたいと思います。
工事概要
工事名 | 紀南発電所建設工事 電気設備・機械設備工事 |
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工期 | 2019年3月~2020年5月 |
発注者 | グリーン・サーマル和歌山株式会社 |
設備 | 電気設備、機械設備 |